気候変動への対応

基本的な考え方

つばきグループは、「モノづくりを通して環境価値と経済価値を創出し“持続可能な社会の発展”に貢献する」を環境理念に掲げ、様々な課題に取り組んでいます。 中でも「気候変動への対応」は、喫緊の社会課題であると同時に、当社グループの中長期経営計画における最重要課題と位置付けています。
気候変動問題は、気温上昇や自然災害の激甚化といった、大きな物理的リスクです。また事業面からは、脱炭素への移行がグループの事業運営、事業領域や製品コンセプトに大きな影響を与えるリスクとなる一方で、適切な対応策実施により、企業体質強化や競争力の向上、さらには新市場、新事業創出の機会になると認識しています。
このような認識の下、当社グループは2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同」を表明しました。TCFDが推奨する「気候変動が与えるリスクと機会」などの情報開示の枠組みを活用して、自社のリスクや機会の抽出、評価を行い、その対応策を事業戦略に反映させていきます。さらにその取り組みについて、積極的に情報開示を推進していきます。

TCFD

※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受けて、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースの略

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同

TCFD提言に基づく情報開示

CO2総排出量削減活動

当社グループでは、気候変動が進む中、CO2など温室効果ガスの削減に取り組んでいます。
国内では、環境長期目標として「2030年度までに、CO2総排出量を46%削減する(基準年度2013年度)」の下、環境自主行動計画に基づく具体的取り組みを推進しています。当社のモノづくりで使用されるエネルギーの多くは、生産プロセスに集中しています。そこで当社では、省エネ型生産設備の積極導入によりエネルギー効率の向上を図ると共に、主要工場の断熱塗装、コンプレッサーの稼働条件の見直しとエアー漏れ対策、さらに、工場の新設・改築時の太陽光発電装置の積極導入による再生可能エネルギーの利用拡大、LED照明の採用など、様々なCO2削減対策を実施しています。
また、2022年度からは非化石証書付きカーボンフリー電力の購入を開始、2023年度にはSBT認証の取得、ICP(インターナル・カーボン・プライシング)の導入を行い、いっそうのESG経営を推進しています。

2022年度の実績

2022年度における当社グループのCO2総排出量は以下のとおりとなりました。
国内では、生産が対前年度比3.9%増加しましたが、グループ10事業所において、CO2排出量削減の施策に加え非化石証書付きカーボンフリー電力の購入を開始したことにより、CO2排出総量は31.1%の削減に至りました。 また、2030年度をゴールとする長期目標(2013年度比46%削減)に対して、40.2%削減となりました。
海外では、北米、欧州、アジアの主要生産拠点15事業所について、2018年度からのデータをまとめています。2030年度をゴールとする長期目標(2018年度比30%削減)に対して、11.6%削減となりました。

CO2総排出量推移 Scope1 (燃料の使用量等、自社で直接排出したCO2量)

  • 事業所別CO2 排出量(国内)
    事業所別CO2 排出量(国内)
  • 事業所別CO2 排出量(グローバル)
    事業所別CO2 排出量(グローバル)

CO2総排出量推移 Scope2 (電気の使用等、自社で間接的に排出したCO2量)

  • 事業所別CO2 排出量(国内)
    事業所別CO2 排出量(国内)
  • 事業所別CO2 排出量(グローバル)
    事業所別CO2 排出量(グローバル)

CO2総排出量推移 Scope1+2

  • 事業所別CO2 排出量(国内)
    事業所別CO2 排出量(国内)
  • 事業所別CO2 排出量(グローバル)
    事業所別CO2 排出量(グローバル)

CO2総排出量 Scope3(サプライチェーンで排出したCO2量)

カテゴリー別構成比(グローバル)

※国内の電力使用によるCO2排出係数は、環境省公表の『電気事業者別排出係数』の「代替値」
海外の電力使用によるCO2排出係数は「IEA Emission factors 2022」が示す2020年度係数

具体的な取り組み

再生可能エネルギーの積極導入

当社グループでは、工場棟の新築・改築の際には、積極的に太陽光パネルを導入しています。
”環境推進モデル工場”と位置づけている埼玉工場では、太陽光パネルの導入や非化石証書付きカーボンフリー電力の購入により、再生可能エネルギー使用率が約40%となっています。
また、省エネ生産方式への転換や、設備投資によるエネルギーの効率化を積極的に推進し、その施策をグループに水平展開し、グループ全体での使用電力の削減に取り組んでいます。

埼玉工場 使用電力構成推移

熱処理工程における「エネルギーJIT活動の推進」

埼玉工場では、熱処理工程での省エネを徹底するため、「エネルギーJIT活動」を推進しています。JITとは、Just In Timeの略で、徹底的にムダをなくして「必要なものを」「必要なときに」「必要な数だけ」生産・供給する仕組みのことです。

この仕組みを省エネ活動に取り込み、例えば、
  • 複数台設備の寄せ止めによる不要時間におけるヒーター停止
  • 熱処理炉の立ち上げ、立下げのタイミングの見直しによるエネルギーのムダ排除
  • 休日におけるムダなエネルギーの排除(熱処理設備は24時間稼働)
  • 付帯設備の稼働タイミング見直し(ムダ時間の停止、制御)
などの活動を展開。地道にコツコツと改善を積み上げ、省エネ効果を発揮しています。

エアコンプレッサへのパルスブローの設置

工場内では、様々な目的でエアコンプレッサが稼働しており、テンショナー工場を例にとると、使用する電力量の約50%を占めています。
テンショナ加工ラインでは、加工・洗浄工程後に油やコンタミ等をエアーブローで除去していますが、そのエアーブローをパルスブローに変更。これにより、約2分の1のエアー量で同じ機能を得ることができ、省エネにつなげています。
これを随時水平展開することにより、工場での電力使用量削減を図っています。

海外グループ会社での取り組み例 
TSUBAKI KABELSHLEPP GmbH(ドイツ)

TSUBAKI KABELSHLEPP GmbHでは環境長期目標の達成に向け、積極的にCO2削減活動を実施しています。

例えば、
  • 資源効率の最適化(コンプレッサー、射出成型からの排熱回収の実施)
  • 再生可能エネルギーへの転換の実施
    (2022年1月から100%再生可能エネルギーに置換)
  • 照明のLED化(生産エリア全体完了)
  • 高効率設備への置換(高効率射出成型機への計画的な設備更新)
等を実施し、エネルギー使用量の削減とグリーン電力化に努めています。

埼玉工場における県条例対応

埼玉工場の地球温暖化対策計画・実施状況報告 ( 00 KB)

持続可能な社会の実現に向けて

つばきグループは、「動かす」分野において社会の期待を超える価値を提供し、
社会から必要とされ続ける企業となることを目指します