プレスリリース

日本における革新的医療開発を実現する日本初の産学連携の取り組み
京都大学におけるワンストップバイオリソース事業の実施と
「産」in「学」の産学連携モデルとしての株式会社KBBM設立について

2018/03/20

 国立大学法人京都大学と株式会社エスアールエル、株式会社椿本チエイン、シスメックス株式会社、株式会社アスクレップ、株式会社島津製作所、富士通株式会社及び株式会社SCREENホールディングスは、わが国における革新的医療開発に貢献することを目指し、それぞれの研究基盤、事業基盤を活かした新たな産学連携モデルを構築することといたしました。このなかで、京都大学は、医学部附属病院に設立されたクリニカルバイオリソースセンターによるワンストップバイオリソース事業を実施するとともに、企業7社は、株式会社KBBMを新たに設立して同事業を推進し、両者で、より有効でより安全な医薬品、治療法をより迅速に患者さんに届けるための「産」in「学」の新たな産学連携に取り組みます。なお、KBBMの名称には、革新的医療の架け橋を京都から(Kyoto Bridge for Breakthrough Medicine)という思いを込めて命名されました。

 当社は、世界初のマイナス150℃対応の超低温自動保管庫をはじめ、創薬やDNAなどを取り扱う研究機関のサンプルストレージの効率化に貢献するライフサイエンス支援機器を開発・提供してまいりました。当社は、本事業に出資(当社出資金:1億円)するとともに、これまでの経験と実績を生かし、高品質の生体試料の保管を実現する試料保管システムの開発・納入を通じて、京都大学とともに革新的で効率的な医療の実現に貢献してまいります。

※株式会社KBBM(Kyoto Bridge for Breakthrough Medicine)について

本店所在地 京都府京都市(京都大学医薬系総合研究棟内)
代表取締役社長 田澤 裕光
資本金 3億150万円
資本準備金 3億150万円
設立日 2018年3月1日
事業内容 臨床研究及び臨床試験等の受委託業務、管理業務及び支援業務
医薬品、医薬部外品及び臨床検査薬化学分析研究に関する試験の受託業務
創薬ターゲット・バイオマーカー探索業務、その他

*ライフサイエンス支援機器の詳細は こちら を参照ください。

■本件についてのお問い合わせ先
経営企画センター 広報・IR課
TEL 06-6441-0054 
FAX 06-6441-0203 
E-mail :

≪京都大学の本事業に関する公表メッセージ≫

 我が国においては、残念ながら、大学等のアカデミアで発見または開発されたシーズが革新的なメディカルイノベーションになかなか結びついていない実態があり、その改善が強く望まれています。また、医薬品等の研究開発においては、患者さんをはじめ、人を対象とする臨床研究が必要であり、その負担の軽減という課題は、古くて新しい問題と言えます。

 特に、患者さんや健常者からのご厚意で提供されるヒト試料(血液や病気の組織の一部といったバイオリソース)の利活用の途を開くことで、医薬品等の研究開発の人への応用の前段階において、シーズの有効性と安全性をヒト生体試料を用いて直接的に検証することや多くの分子生物学的解析データと臨床情報を関連付けながら病態を解析することが可能になります。このことは、研究開発シーズ選定の効率化と迅速化、そして不要な臨床研究の減少など、対象となる臨床研究参加者の負担の軽減に資すると考えられます。すなわち、よりよい医療をいち早く患者さんに届けるためにも、研究開発の早期の段階からヒト生体試料にアクセスし効果的な研究開発を実施する仕組みを構築することが求められています。

 一方で、ヒト試料の利活用に当たっては、提供のご協力をいただいた皆さまの個人情報やプライバシーの保護など、個々人の尊厳や研究倫理の遵守が求められるともに、バイオリソース事業の公共性の維持も重要となります。ヒト試料の取扱いにおいて、例えば、採取・搬送・保存等の見える化や、倫理的な観点からの監督・管理が必要であり、そのような仕組みがなければ、安心して提供のご協力をいただくことはできず、また、利用される方においても安心して、研究開発を実施することができません。

 京都大学は、「クリニカルバイオリソースを活用した「産」in「学」」のモデルを創案し、医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンターにおいて収集する患者さん、または健常者由来のヒト試料について、これらを迅速かつ効果的に研究に用いることができる高度な管理体制を構築し、継続性のある研究基盤体制を民間企業7社と共同で構築することといたしました。

 医学部附属病院において収集されるヒト試料を適切な監督・管理の下で提供する仕組みを構築し、これにより、提供者個人の権利の保護、本事業の公共性の維持を図りながら、医薬品・医療機器の研究開発のイノベーション、患者さんの利益に資する医療の提供の実現に貢献することを目指します。

 本事業においては、患者さんへの治療とQOL向上を通じたベネフィットの還元の視点が重要であり、医薬品開発を行う企業等がヒト試料を利用する場合は、提供に必要な適切なコストを利用側のそれぞれの企業が合理的に負担し、これらのワンストップバイオリソース事業や臨床研究の基盤強化、病院医療基盤などのインフラ整備等に充てる事により、患者さんへの還元を図っていきます。

 京都大学といたしましては、より高度な倫理性の確保を企図して、我が国において例をみない独 自の倫理ガバナンスモデルを創案し、株式会社KBBMにおいて当該モデルが導入されることとなりました。当該モデルにおいては、京都大学と株式会社KBBMや同社参画企業との間で各種契約を締結するのみならず、京都大学が設立した一般社団法人バイオリソース事業ガバナンスホールディングスによる拒否権付種類株式の保有を通じて、株式会社KBBMの事業活動の倫理面を規律するスキームとなっています。

 京都大学は、本事業を通じて患者さん本位の革新的で効率的な医療の実現を目指します。

以 上

プレスリリースに記載されている情報は発表当時のものであり、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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